「桜の花舞い上がる道を~」 好きなエレカシの桜ソングが頭に鳴り響く季節となりました。
私も50代半ばになり、開院間もない時期である30代だった頃の症例を思い出しました。ちょうど今の私と同じくらいの年齢= 定年が近い女性でした。 主訴は頚椎症。手術をしたくないと来院されました。この問題は比較的早期にクリアし、無事手術回避に。 しかし、ここからが中医学鍼灸について真の底力を知った治療となったのです。 この女性(50代)は、夫を交通事故で亡くした妹さんとその息子、そして母親を支え、新卒で入社した会社に勤務している女性でした。
当時は今よりも女性社員の地位は低いながらも、信心深く生きている女性でした。 初診の頃から、「手術になってしまい仕事ができなくなったら介護施設にいる母親の費用がかさみ、老後の資金が足りなくなる」、「毎晩帰り道を誰かにつけられている」、他にも少々度を超えた不安な訴えを繰り返していました。そこで、益胆安神法にて鍼灸をしました。 更年期の憂鬱症や神経症には有効です。
治療後からは、「眠れるようになる」、「びくびくしなくなる」、「後をつけられる」との訴えは消失。 あと、生意気ながらも不安を口にする時間があるならば、手術を回避するために指導した体操を真剣に継続するように叱りました。今の時代ならパワハラ?ですね。でも後には、御自分の家族も治療院へ連れてきて下さいましたので大丈夫でしょう。
中医学の鍼灸は手術や薬のような対症療法ではなく、自然治癒力にスイッチが入るようお手伝いできる医業だと、学校でも机上で習っていたので十分に分かっていたのですが、ただそれだけで実感が伴っていなかったのです。実際に施術したことで初めて知識を実践に繋げる事のできたことを実感した春でした。ただ「分かっている」状態ではなく、やってみて「実感する」ことの大切さを教えてくれた症例の方でした。現在もメンテナンスで来院してくれています。
AIにて「分かる」ことは容易になりましたが、「できる」ことが追い付いていないと鍼灸師の価値は微妙ですね。、やはり、分かっているだけでは全く使えません=使おうと思えません。自分でできるようになって初めて真の自信が付いて、使おうと思えるようになります。今年度も初心を忘れず、実践重視=治してナンボの精神でいきます!! 木戸鍼灸院